「プレゼンテーション・キャンペーンを含む株主提案」とは
従来の株主提案は、株主総会の招集通知に数行の提案理由が記載されるだけの「テキストベース」が主流だった。しかし近年、日本市場でもアクティビストが100ページ超のプレゼンテーション資料や特設Webサイトを公開し、データ・グラフ・ベンチマーク比較を駆使した「ビジュアルキャンペーン」を展開する事例が急増している。
本ページでは、2023年以降に日本企業に対して行われた株主提案のうち、公開資料がビジュアル面で特に充実したものを「プレゼンテーション・キャンペーンを含む株主提案」として整理し、資料への直接リンクとともに紹介する。
各事例には提案の形態 を表示しています — 株主提案 (会社法上の正式な議案として採決)/公開提言・対話 (プレゼン・書簡による提言で、議案ではない)/大量保有・思惑 (株式取得による圧力)。
主要事例
注目の事例
全件を見る (57)
編集部の注目: 時価総額1,000億円未満の企業にも、準大手のアクティビストが本格的なキャンペーンを仕掛けています(例:平河ヒューテック・カワチ薬品)。各事例の詳細やその他の案件は「全件を見る」から。
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2025年
2024年
2023年
リセット
提案者
3D Investment Partners Pte. Ltd.(シンガポール)
保有比率
17.44%(段階的に買い増し、筆頭株主級)
資料形態
プレゼン+漫画+特設サイト+PR動画
提案の核心
3Dは保有比率を10.58%→17.44%へ段階的に引き上げ、当初「議決権30%まで」の取得計画を会社に通知。経営の戦略検討委員会設置などのガバナンス改善を要求し、法的拘束力のある「30%未満」誓約を自主提出したが、東邦HDは事後にこれを拒否。会社側は2025年10月に議決権24%をトリガーとする大規模買付行為等対応方針(買収防衛策)を導入し、11月の補足説明で3Dを名指し。2026年4月の防衛策発動決定に対し、3Dは「深い失望」を表明した。一般的な20%より高い24%という発動閾値の設定が特異な大型ガバナンス案件。
資料の特徴
「企業価値を蝕む病理」と題する本格プレゼンに加え、一般株主向けに漫画「5分でわかる 東邦HDの現状」、特設サイト「compoundtoho.com」、YouTubeのPR動画までフルセットで展開。医薬品卸という地味な業界の対立構図を、ストーリーとビジュアルで誰にでも届く形に翻訳した点が際立つ、日本のアクティビズムでも先鋭的なビジュアルキャンペーン。
提案者
ライジング・サン・マネジメント(ダルトン関連会社)
対象総会
2026年6月 定時株主総会
資料形態
株主提案スライド + 公式リリース
提案の核心
シャッター事業は国内シェア第2位の競争優位性が高い優良事業と評価し、経営陣の市場対応姿勢も一定程度評価する是々非々のトーン。一方で、2025年9月のポイズンピル(買収防衛策)導入計画の発表以降、企業価値と株主からの信頼が大きく毀損されたと批判。より独立性と実効性を備えた取締役会の構築に向け、社外取締役候補2名を株主提案した。
資料の特徴
社名にかけた「株主にシヤッターを閉じないで」というキャッチコピーでスライド資料を公開。対話の経緯と評価できる点を明示したうえで防衛策への懸念を訴える構成。
提案者
ストラテジックキャピタル
保有比率
9.22%(2026年4月、5.10%から急速に買い増し)
資料形態
特設サイト(全15スライド)
提案の核心
配当性向100%/DOE8%を軸に、(1)期末配当の決定機関を株主総会とする定款変更、(2)資本効率・資本コストを踏まえた事業ポートフォリオ計画の策定、(3)不採算事業の撤退方針の定款記載、(4)政策保有株式の2029年3月末まで全売却、(5)株式分割の総会決議化と1:3分割、(6)発行可能株式総数の拡大、の6議案を提案。祖業である赤字の食器事業からの撤退を含む構造改革要求が注目された。会社側は全件に反対決議し、配当を前期60円→80円へ増額して対抗、「食器事業は継続」と表明した。
資料の特徴
特設サイト「5331-NORITAKE」に全15スライドを画像で掲載。森村グループ(TOTO・日本ガイシ・Niterra等)の沿革やPBR分析をビジュアル化し、祖業ゆえの非効率を可視化する構成。
提案者
ストラテジックキャピタル
核心論点
毀損された株主価値 約531億円
資料形態
特設サイト(9スライド統合)
提案の核心
自己資本798億円(1,674円/株)に賃貸等不動産の含み益937億円を加え、含み益への課税281億円を控除した修正自己資本は1,454億円(3,048円/株)に達する。これに対し時価総額は923億円(1,935円/株)にとどまり、本来の株主価値に対して約37%ディスカウント・約531億円が毀損されていると主張。賃貸不動産の含み益が時価に反映されない構造的問題を提起した。
資料の特徴
株主価値の毀損プロセスをwaterfallチャート1枚で可視化。REIT類似のビジネスモデルを持つ不動産系上場企業に共通するバリュエーション・ギャップの典型的な説明資料となっている。
提案者
ダルトン・インベストメンツ
対象総会
2026年6月 定時株主総会
資料形態
公式リリース + EDINET臨時報告書
提案の核心
(1)取締役選任(Dalton共同創業者 James B. Rosenwald III と佐野順一郎)、(2)自己株式取得、(3)譲渡制限付株式報酬の拡充、(4)東証要請への対応に関する定款変更、の4議案を提案。共同創業者自らが取締役候補となる、強いコミットメントを示すスタイル。創業家の影響が残る大型菓子・食品メーカーに対し、東証のPBR改善要請を直接受けた資本政策・ガバナンス改善を求めた。
資料の特徴
東証要請対応の定款変更を求める構成は、ダルトン・グループが2026年に複数社へ展開する主軸の提案テーマと整合している。
提案者
Asset Value Investors (AVI)+カナメ・キャピタル協調
保有比率
議決権ベース約10%(最大株主)
資料形態
キャンペーンサイト + プレゼン(日英)
提案の核心
2025年の第42回定時株主総会で、社外取締役1名の追加選任、50億円の自己株式取得、ブランド事業の黒字化を監督する「事業構造変革監督委員会」の定款設置、METI企業買収行動指針を踏まえた定款変更、取締役2名の解任などを提案。1議案は会社側が取り込んで取下げ、残り5議案はすべて否決された。ブランド事業のFY2023/3以降の累積損失100億円超や、Connected Ink等を巡る利益相反疑惑を争点とし、2026年5月には社長解任要求を含む更新版プレゼンで2巡目のキャンペーンに移行した。
資料の特徴
専用キャンペーンサイト「Draw Wacom's Future」を開設し、日英のプレゼン資料を継続更新。AVIとカナメ・キャピタルが協調する、マルチ・アクティビスト型キャンペーンの事例。
提案者
カナメ・キャピタル(Kaname Capital, L.P.)
対象総会
2026年6月26日 第79回定時株主総会
資料形態
公開レター + 調査報告書 + 訴状
提案の核心
福田会長による会食費の現金還流、本社地下駐車場の私的車庫使用、経費精算書の虚偽記載などを指摘し、独立した第三者委員会の設置を再三要求。会社の2026年5月21日付回答書が要求を全面拒否したことを受け、カナメは5月29日を回答期限に設定。第三者委員会が設置されなければ、6月26日の第79回定時株主総会で会長および同会長を擁護してきた取締役らの再任に公然と反対すると宣告した。2024年7月には株主代表訴訟も提起している。
資料の特徴
黒塗り版の独自調査結果報告書、複数の公開レター、訴状を順次公開し、現職・元従業員からの内部告発も募る情報戦型キャンペーン。ビジュアル資料というより一次資料の開示量で攻める異色のスタイル。
提案者
ストラテジックキャピタル
決着
2026年5月22日 全6議案を取下げ
資料形態
特設サイト(10スライド統合)
提案の核心
高性能AIサーバー向け冷却ファン「San Ace」で業界トップシェア(営業利益率約20%、グループ利益の6〜8割)を持ちながら、EV/EBITDAがDelta ElectronicsやNidecに劣後する評価ギャップを指摘。取締役選任(丸木強SC代表)、任期短縮、指名委員会設置、株式分割など6議案を提案した。会社が提案発送と同日(2026年4月15日)に指名委員会の自主設置を発表したことなどを受け、SCは約1か月後の5月22日に全6議案を取下げた。
資料の特徴
特設サイト「6516-SANYODENKI」に、San Ace新製品リリース履歴やAIサーバー出荷台数推移、PBR/EV比較チャートを画像で多数掲載。「提案 → 会社の自主改善 → 取下げ」という、18か月の対話を経たエンゲージメント勝利型の代表事例。
提案者
ストラテジックキャピタル(JAPAN-UP 名義)
保有比率
約14%(2026年5月時点)
資料形態
特設サイト + 株主総会Q&A議事要旨
提案の核心
PBR1.1倍程度に留まる現状に対し、最低でもTOPIX水準(PBR1.5倍程度)を目指すべきと木村社長と認識を共有。2025年の第65回定時株主総会でのSCと社長のQ&Aを公開し、2026年は報酬改定議案を維持(5月15日に提案理由を一部修正し、約14%保有を確認)。新中期経営計画は「充実した内容」と評価しつつ、目標達成に向けたコミットメント強化を要請する、段階的なガバナンス改善型の提案。
資料の特徴
社長との対話の議事要旨まで公開する透明性重視のスタイル。約14%という高い保有比率を背景に、多年度にわたって長期株主としての規律を維持するエンゲージメント型キャンペーン。
提案者
3D Investment Partners Pte. Ltd.(シンガポール)
保有比率
14.36%(2025年12月時点、大株主トップ3)
資料規模
110ページ超のプレゼンテーション
提案の核心
HD(大型)ゲーム事業とSD(中小型)ゲーム事業の売上がFY22/3〜FY25/3で平均-5%・-17%と減少する中、中期経営計画「再始動の3年間」が具体的KPIと長期ビジョンを欠くことを詳細に指摘。元社員の証言、ユーザー評価の定量分析、競合ベンチマークを駆使し、桐生社長に「根本的な経営計画の再検証プロセスと支援体制の構築」を要求。
資料の特徴
冒頭にスクエニの名作タイトルの画像を配置し、「新しい何かを生み出せているか」と問いかける構成。売上推移・利益率の時系列グラフ、競合企業との詳細なベンチマーク比較表、ユーザーレビュー評点のヒートマップなど、ゲーム業界に特化した独自の分析フレームワークを展開。投資家だけでなく一般ファンにも読みやすいデザイン。
提案者
ストラテジックキャピタル + INTERTRUST TRUSTEES (JAPAN-UP)
保有比率
約5.4%
資料形態
特設Webサイト + PDF反論書
提案の核心
過去10年でCEO森下氏の報酬が120百万→340百万円に増加する一方、営業利益は69%減、時価総額は78%減という「報酬と業績の乖離」を主要論点に据える。具体的に、(1) 代表取締役固定報酬の開示条件付き変更、(2) 固定:業績連動比率を300M:300Mから150M:450Mへ変更しROE連動化、(3) ストックオプション廃止→株式報酬制度導入(5年TSR対TOPIX超過条件)、(4) 配当の株主総会決議事項化、(5) 自己株式全数消却、(6) タイトル別売上開示を提案。
資料の特徴
専用ドメイン stracap.jp/3765-GUNGHO/ に特設サイトを開設し、提案項目ごとに詳細な解説ページを作成。CEO報酬と業績の10年推移グラフ、同業他社との報酬ベンチマーク、自己株式比率のビジュアル化など、データドリブンな「企業と株主の対立の見える化」を実現。ガンホー側の反対意見に対する再反論PDFも公開。
提案者
3D Investment Partners Pte. Ltd.
資料形態
特設サイト + 複数回のプレゼン資料更新
提案の核心
サッポロの保有不動産(恵比寿ガーデンプレイス等)の評価額が約6,360億円と時価総額を大きく上回ることを指摘。不動産事業の適格スピンオフによる企業価値最大化と、社外取締役(Paul Brough氏)の選任による取締役会の監督強化を提案。2023年の初回提案から2025年3月の第101期AGMまで、複数年にわたるキャンペーンを展開。
資料の特徴
特設サイト compoundsapporo.com を開設し、プレゼン資料、プレスリリース、株主向けレターを一元管理。不動産評価額の独自算定グラフ、スピンオフ後の企業価値シミュレーション、取締役会構成の問題点マッピングなど、複数の独立資料を時系列で公開。サッポロ側の意見表明に対する反論資料も即座に公開する「リアルタイム論争」スタイルを確立した。
提案者
3D Investment Partners Pte. Ltd.
資料形態
特設サイト + PDF + 株主向けレター
提案の核心
第54回定時株主総会にて、社外監査役1名の選任と、取締役会が非公開化提案を否決した場合に発動する条件付き自己株式取得を提案。富士ソフトの企業価値が市場で過小評価されていることを定量的に示し、非公開化を含むあらゆる選択肢の検討を求めた。
提案者
ダルトン・インベストメンツ(Rising Sun Management)
提案対象企業数
21社(2025年6月総会、ダルトン全体)
提案の核心
フジテレビの不祥事を契機に、SBIホールディングス会長の北尾吉孝氏を含む取締役候補12名の選任を提案。事実上の取締役会「総入れ替え」要求で、結果は会社案が80%超で可決、ダルトン候補は全員否決(北尾氏は27%の賛成票)。ダルトンの根底にある論点は、利益の柱が都市開発(不動産)にある「実質不動産会社」の構造と、サンケイビル等の不動産価値が株価に十分反映されていないことにある。
最新動向(会社側の対応)
2026年、会社側が大きく動いた。完全子会社サンケイビル(オフィス・ホテル・物流施設を保有)の全株式売却に着手し、1次入札にはKKR・ゴールドマン等50社超が参加、応札は1兆円超と国内最大級の不動産M&Aに発展している(年内完了も)。併せて約2,349億円の自社株買いを完了。旧村上系(村上ファミリーオフィス)はこの自社株買いに応じる形で1,200億円超を回収して持ち分を縮小し、2026年総会では提案を見送る一方、攻勢の矛先は次のテレビ朝日HDへ移った。
提案者
村上ファミリーオフィス(シンガポール)/野村絢氏(村上世彰氏長女)
保有比率
野村絢氏 1.86%(195万株、第8位)。村上FOも数%を保有とされる
資料形態
大量保有・総会招集通知の開示/報道
提案の核心
フジHDで自社株買いを引き出し1,200億円超を回収した旧村上系が、次の標的としてテレビ朝日HDに照準。PBR約0.7倍(株価3,115円)の割安を問題視し、政策保有株・遊休資産の処分と株主還元の拡充を求めるとみられる。野村絢氏が1.86%(195万2100株)を取得して第8位株主となり、2026年6月26日の定時株主総会の招集通知で開示された。
資料の特徴・経緯
フジでの「成功」で放送業界への知見を深めた村上系の“次のフジ”案件。フジHDが2026年総会ではアクティビスト提案なしと沈静化する一方、攻勢はテレビ朝日へ移った。野村絢氏は京阪HD・近鉄GHDなど含み資産を抱える私鉄株も保有しており、放送局・鉄道に共通する「不動産・政策保有の含み資産アンロック」がテーマとなっている。
提案の核心
日鉄ソリューションズ(NSソリューションズ)の企業価値最大化を阻んでいる要因を指摘するプレゼンテーション資料を公開。親会社である日本製鉄との関係を含む構造的課題を分析。
提案者
Oasis Management Company Ltd.(香港)
保有比率
約12.5%(2026年3月、3%→5%→12.5%と段階的に増加)
資料形態
特設サイト2本(abetterkao.com / protectkao.com)+ 複数PDF + 株主説明会
提案の核心
社外取締役5名の選任、CEO報酬の固定:業績連動比率改革、報酬制度のTSR連動化を提案。2025年3月AGMでは全議案否決。2026年3月にはESG/サプライチェーン問題(パーム油・森林破壊)を根拠に臨時総会を請求し、「Protect Kao」キャンペーンを展開。オークラホテルでの株主説明会も開催。
資料の特徴
「A Better Kao」サイトにプレゼン資料(日英)、社外取締役候補紹介、株主向けレターを一元管理。2026年には「Protect Kao」として第2の特設サイトを開設し、ESG論点にフォーカスした新たなキャンペーンを展開。Oasisの日本市場における最大規模のキャンペーン。
提案者
Oasis Management Company Ltd.
主要論点
政策保有株式が純資産の53%、ROE 0.8%
提案の核心
非中核事業の売却(売上6,600億円超)、有機パッケージ事業撤退、KAVX子会社のリストラ、GaN・ミリ波事業の損失停止、中核セラミクス事業への集中、会長・社長の再任反対の7項目を提案。社長の承認率が96%(2015年)→65%(2023年)に低下していることを指摘。
保有比率
約15.6%
結果
社長再任46%で否決(実質勝利)→ KKR非公開化
提案の核心
佐藤社長と高野取締役の解任を提案。2018年以降の医薬・製薬事業拡大でのリターン低迷を批判。2025年AGMで社長再任が46.09%と過半数割れで否決(Oasis提案は49.90%の賛成)。実質的に社長交代を実現し、その後KKRが非公開化に合意。Oasisのキャンペーンが企業再編に直結した希少事例。
保有比率
約10.1%(第2位株主、機関投資家最大)
資料形態
株主代表訴訟 + 臨時総会請求 + プレスリリース
提案の核心
2024年3月の紅麹(ベニコウジ)健康被害事件を契機に、(1) 社外取締役の選任と独立調査人の設置、(2) 小林章浩氏の取締役再任反対を要求。2025年AGMでは非創業家株主の過半数がOasis提案に賛成したが、創業家の議決権で否決。2025年4月に取締役に対する株主代表訴訟を提起し、2026年AGM向け新提案も提出。
保有比率
約12.8%
結果
否決(ISS全面支持も創業家議決権で敗北)
提案の核心
独立社外取締役5名の選任を提案し、創業家(鶴羽・小川・村上家)による社長人事の縁故主義と独立監視機能の排除を批判。ISSが全面支持するもプロキシファイトに敗北。
保有比率
13.76%(ソニーを抜き筆頭株主、2026年3月30日時点)
取得目的
「ポートフォリオ投資および重要提案行為」
状況
2026年3月19日に8.86%を開示後、わずか11日で13.76%まで買い増し。Elden Ringで世界的に注目されるFromSoftwareの親会社として、IP資産価値の適正評価が論点になる可能性。2026年6月AGMでの株主提案が注目される。投資額は推定5億ドル超。
提案者
Elliott Investment Management L.P.
保有比率
5.03%
提案の核心
都市ガス最大手の東京ガスに対し、パークハイアット東京を含む75超の不動産・プロジェクト(推定1.5兆円=約98億ドル)の売却による資本効率改善を要求。企業価値向上委員会の設置を支持し、自社株買いの拡大を促した。東京ガスは2025年2月に自社株買い拡大と米シェール資産売却を発表。
提案者
Elliott Investment Management L.P.(最大独立株主)
資料形態
elliottletters.com でプレゼンPDF公開
提案の核心
豊田不動産による改訂TOB価格(18,800円/株)に対し、純資産価値は26,000円超(約40%の乖離)と分析。TOBの取引ガバナンスプロセスの重大な欠陥を指摘し、独立運営(Standalone Plan)の優位性を主張。「TOBが成功すれば日本のコーポレートガバナンス改革にとって後退」と警告。
提案者
ストラテジックキャピタル + INTERTRUST TRUSTEES (JAPAN-UP)
主要論点
PBR 0.2倍台、信用格付け投機的水準、営業利益率・ROE業界最下位
提案の核心
日産が保有する上場関係会社(日産車体等)の株式について、保有や売却の検討を年1回以上行い、結果を開示することを定款に盛り込むよう要求。抜本的な構造改革の必要性を訴える提案。
提案の核心
淀川製鋼所の株主価値向上に向けた複数議案を提出。ストラテジックキャピタルの特設サイト型キャンペーンの典型例として、提案理由・データ分析・反論を一元管理するスタイルを展開。
提案者
ひびき・パース・アドバイザーズ(シンガポール)
保有比率
約18%(筆頭株主、2025年3月末時点)
資料形態
公開キャンペーン + Hibiki Investment News
提案の核心
2018年より長期にわたる友好的かつ真摯な提言を行ってきたが、会社側が見解の相違を埋める努力を放棄したとして、2025年6月20日開催の第54期株主総会に向けた公開キャンペーンに転換。渡辺取締役相談役の再任反対、監査等委員会設置会社への移行反対、ROE向上に向けた株主還元強化(自己株式取得・配当強化)を提案。2024年9月には株式非公開化の検討を求める書簡も取締役会に送付。
資料の特徴
ひびき独自の情報発信プラットフォーム「Hibiki Investment News」で、投資先への提言内容・書簡・株主総会対応方針を時系列で公開。対話型エンゲージメントから公開キャンペーンへの移行プロセスが可視化されており、中小型株エンゲージメントの教科書的事例。
提案者
ひびき・パース・アドバイザーズ(シンガポール)
アプローチ
IR面談・取締役会レター・株主総会出席・動画コンテンツ
エンゲージメントの特徴
清水雄也CIOが直接対話を主導。2024年5月にIR面談で事業面・財務面の意見交換を実施、同年6月の定時株主総会に株主として出席。取締役会へのレター送付やエンゲージメントの詳細を動画コンテンツで紹介するなど、透明性を重視した対話型アプローチを展開。Hibiki Investment Newsを通じて、投資先との対話プロセスをリアルタイムで発信。
提案者
スイスアジア・フィナンシャル・サービシズ(門田泰人CIO)ほか複数ファンド(「群がり型」)
保有比率
スイスアジア20%超 + 成成15%超(中国系)
結果
会社側取締役5名全員否決、アクティビスト側候補8名全員可決
経緯
門田泰人氏がCIOを務めるスイスアジア・フィナンシャル・サービシズが2024年2月に東京コスモス電機の筆頭株主に。買収防衛策の廃止や配当方針変更等を含む複数の株主提案を実施。2025年6月24日の株主総会で、会社側が提案した社長を含む取締役5名の選任議案が全て過半数割れで否決。アクティビスト側候補8名は全員可決され、監査等委員を除く取締役が丸ごと入れ替わる異例の事態に。門田氏が新社長に就任し、その後スイスアジアから独立してアクシウム・キャピタルを設立(運用資産1,000億円超を目標)。
新中期経営計画(2026–2030年度)
「アクティビストは経営できない、は的外れ」と明言する門田新社長は、2026年度以降の5年間を成長投資フェーズと位置付け、アジアNo.1の可変抵抗器メーカー・スーパーTier2を目指す新中期経営計画を策定。株価を2倍以上に引き上げると明言。ファンド運営と上場企業社長の「二刀流」という前例のないスタイルが注目される。
提案者
エフィッシモ・キャピタル・マネジメント
保有比率
24.28%(変更報告書ベース、筆頭株主へ)
資料形態
大量保有報告書・変更報告書(EDINET)
提案の核心
アルミ圧延最大手UACJに対し、エフィッシモが2024年以降に持株を継続的に積み増した。変更報告書ベースで保有割合は15.82%から段階的に上昇し、最新では24.28%に到達。これにより従来の筆頭株主だった古河電工を抜き、エフィッシモが実質的な筆頭株主となった。保有目的は投資および状況に応じた重要提案行為等とされる。
資料の特徴・経緯
特設サイトや議決権行使勧誘ではなく、大量保有報告書の変更報告として段階的に開示された点が特徴。公開提案を前面に出さず大量保有で影響力を確保するエフィッシモ型の構図で、ガバナンス・資本効率への圧力が市場で意識された。
提案者
シティインデックスイレブンス(旧村上系)。共同保有者の野村絢が保有の大半
保有比率
5.32%(2025/3)→8.17%→6.08%→5.31%(10月再取得)。買増→売却→再買増のサイクル
資料形態
大量保有報告書・変更報告書(EDINET)。保有目的は重要提案行為等
提案の核心
旧村上系のシティインデックスイレブンスが2025年3月にフェローテックHD株を5.32%取得して登場。共同保有者の野村絢が大半を保有し、保有目的に「重要提案行為等」を明示。段階的な買増・売却・再買増を経て10月に5.31%で再び5%超を回復した。中国子会社FTSVA(ChiNext上場)やパワー半導体基板のFLHなど、子会社価値が親会社時価総額に反映されない「親子未満上場」の価値解放が狙いとみられる。
資料の特徴・経緯
3月に5.32%→8.17%まで急速に買増した後、減少と再取得を繰り返す典型的な村上系サイクル。AI需要拡大局面で半導体材料・パワー半導体子会社を抱える点が論点。具体的な株主提案は未公表段階。
提案者
エフィッシモ・キャピタル・マネジメント(シンガポール)
保有比率
単独17.13%。共同保有者㈱COREと合算で69.22%
資料形態
大量保有報告書+変更報告書No.1〜No.12(EDINET)
提案の核心
Effissimoは2025年8月27日基準・5.54%で大量保有報告書を提出後、約2か月で変更報告書を連続提出し11月5日基準で16.37%まで電撃的に買い増した。発行者では創業家出身の小川哲史社長が設立した買収目的会社㈱CORE(2025年3月設立)がMBOによる非公開化TOBを7月28日に開始しており、Effissimoはこの局面で株式を積み増した。
資料の特徴・経緯
変更報告書No.12でEffissimoは2026年1月9日付で㈱COREと不応募契約を締結したと開示。TOBに応募せず株式併合に賛同する立場へ。Effissimo17.13%+CORE52.09%=合算69.22%。TOB価格は2,050円→2,919円へ引き上げられた。
提案者
シティインデックスイレブンス(旧村上ファンド系)。共同保有者に野村絢、南青山ATRA
保有比率
5.11%(2025/2)→7.08%(2025/11)→8.12%(2026/3)へ買い増し
資料形態
大量保有報告書・変更報告書(EDINET)
提案の核心
旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが、共同保有者の野村絢・南青山ATRAと組み、京浜急行電鉄株を継続買い増し。2025年2月13日時点で合計5.11%の大量保有を報告し、同年10月28日に7.08%へ。保有目的は『状況に応じ経営陣への助言、重要提案行為等を行う』と記載され、含み資産を抱える私鉄へのエンゲージメント含みのスタンスを明示している。
資料の特徴・経緯
取得は市場内・市場外買付の組み合わせ。共同保有者が当初2社から3社へ拡大し、積み増しが進行。2026年3月には8.12%まで到達した。品川GOOSE再開発など不動産含み資産の価値が論点になりやすい構図。
提案者
エフィッシモ・キャピタル・マネジメント(Oasis Managementも並走)
保有比率
28.65%(2024年9月、特別決議を単独否決できる事実上の拒否権)
資料形態
EDINET大量保有・変更報告書(サイレント型)。Oasisは特設サイトで主張公表
提案の核心
エフィッシモは2024年9月までに保有比率を28.65%まで引き上げ、特別決議を単独で否決できる事実上の拒否権を確立。サンケンはこれに先立ち2024年7月に子会社Allegro MicroSystems株を約1,370億円で売却し連結除外、コアの半導体デバイスと非中核のPower Systemに事業を整理。エフィッシモは公開要求を出さず拒否権だけ確保し、経営の自発的改善を促すスタイルを採った。
資料の特徴・経緯
エフィッシモの単独最大保有事例。Allegro売却で得た約1,370億円のキャッシュを背景に、2024年11月29日サンケンは最大300億円・600万株(発行済24.8%)の自社株買いを決議。Oasisとの二重圧力下でPMI監視局面に移行した。
提案者
エフィッシモ・キャピタル・マネジメント
保有比率
5.81%(2024/10)→7.48%→9.16%(2025/8、筆頭株主級)
資料形態
大量保有報告書(目的は終始「純投資」、サイレント案件)
提案の核心
Effissimoは2024年10月に5.81%の大量保有を報告し、以後7.48%、9.16%まで買い増した。保有目的は一貫して「純投資」で公開アクションは確認されないが、同じ複合機ライバルのリコー(7752)を19.50%保有しているため、業界再編の触媒となる思惑から市場が反応し、2025年8月に株価が約4割上昇した。
資料の特徴・経緯
公開提案を伴わない純投資装いの「サイレント案件」。大量保有報告書の提出だけで思惑買いが起き、3週間で約4割高となった点が特徴で、リコーとコニカミノルタ両社の構造改革・統合期待が背景。
提案者
Asset Value Investors (NAVF/AJOT) と Dalton の共同エンゲージメント
保有比率
合算32.79%(Dalton19.75%+NAVF JP9.46%+NAVF US3.57%)
資料形態
株主提案+会社側取締役会意見(TDnet)、AVI議決権サマリ
提案の核心
AVI(NAVF系)が買い増し、Daltonと合算で32.79%を保有する状況下、AVIが提案した定款変更(剰余金配当を株主総会決議でも可能化)が第87期定時株主総会で賛成率73.11%という高水準で可決された。アクティビストによる株主提案の可決は日本では稀な事例。一方で自己株式取得の提案は賛成37.66%で否決された。
資料の特徴・経緯
Daltonは2025年4月に過半数6名の取締役選任を含む株主提案を行ったが、会社側が指名委員会で2名を会社案候補に取り込んだことを受け提案を取下げ。会社は同時に総還元性向50%以上への株主還元方針変更と新中期経営計画を公表し、実質的な妥協が成立した。
提案者
Palliser Capital (UK) / 普通株式の1.98%を保有する第6位株主
保有比率
1.98%(第181回定時株主総会時点)
資料形態
公式キャンペーンサイト(keisei100.com 日英)、AGM提案プレゼン(日英PDF)
提案の核心
英Palliser Capitalが京成電鉄の保有するオリエンタルランド(OLC)株式の資本効率を問題視。OLCの議決権比率を約2年以内に20%超から15%未満へ削減する資本配分ポリシー策定を求める法的拘束力ある株主提案を提出した。Palliserは約4,200億円の価値アンロックを試算し、保有資産の含み益が時価総額を上回る矛盾の是正を主張した。
資料の特徴・経緯
UK系Palliserの日本における初の大型キャンペーン。保有1.98%(第6位)ながらISS・Glass Lewis両助言会社の賛成推奨を得たが、2024年6月の総会で賛成率約30%弱と3分の2要件に届かず否決。京成は提案前にOLC株0.5%を譲渡し部分対応、Palliserは保有を継続し2025年は社長再任反対へ展開した。
提案者
ダルトン・インベストメンツ(James B. Rosenwald III CIO/届出人 NAVF)
保有比率
8.58%(2024年の1.16%から買い増し、総会後に縮小)
資料形態
株主提案による取締役選任議案/議決結果は臨時報告書で開示
提案の核心
ダルトンは第64回定時株主総会(2025年6月20日)に取締役3名の選任を株主提案。会社はこれに反対したが、James B. Rosenwald III CIOが賛成52.1%で可決され選任された。残る2名は各38.4%で否決。会社提案の取締役2名は92.8%・71.8%で可決され、会社反対の株主提案候補がAGMで通った希少な実例となった。
資料の特徴・経緯
ダルトンは2024年初頭から保有を1.16%→8.58%へ段階的に買い増し、医療機器・滅菌包装のホギメディカルに社外取を送り込む取締役選任型キャンペーンを展開。3名のうちCIO本人のみが過半数の賛同を得て選任された。
提案者
ストラテジックキャピタル(JAPAN-UP名義)
保有比率
議決権300個以上を6か月前から継続保有し株主提案権を行使
資料形態
株主提案公表+特設サイト(5449-OSAKASTEEL、全13スライド)
提案の核心
ストラテジックキャピタルは親会社・日本製鉄の上場子会社である大阪製鐵に対し、2025年6月総会へ3議案を提案。(1)DOE8%を株主還元方針とすること、(2)株主価値向上・非公開化検討委員会を設立すること、(3)取締役の過半を社外取締役とすること。PBRが2008年以降一度も1倍を超えず(2025年3月末0.72倍)、ROEが株主資本コスト(推計約8.9%)を大幅に下回る資本効率の低さを問題視した。
資料の特徴・経緯
親子上場と解散価値割れの典型構造に対し『非公開化検討委員会』設立を求めた点が特徴。会社が2025年1月に中計と日本製鉄からの自己株式取得・福証重複上場を発表すると株価は前日比▲13.7%。SCは日本製鉄による完全子会社化が少数株主に最善と主張し、親会社預け金や常勤取締役5名全員が日本製鉄出身である点を利益相反として批判した。
提案者
カタリスト投資顧問(助言)+マネックス・アセットマネジメント(運用)
保有比率
ファンド経由保有(具体比率は公開資料で未確認)
資料形態
カタリスト公式 株主提案PDF+専用LP/第2回提案
提案の核心
カタリスト投資顧問はマネックス系のファンドを通じDNPにエンゲージメントを行い、2025年6月開催の第131期定時株主総会に向け、半導体技術開発とセルサイドアナリストの両経験を持つ木下敦寛氏を社外取締役候補とする株主提案を提出した。半導体事業がDNP利益の柱に成長する中、テクノロジーと資本市場の両面知見を持つ独立社外取の必要性を訴える内容で、2024年に続く継続提案。
資料の特徴・経緯
2022〜2024年にElliottがDNPにエンゲージし3,000億円の自社株買いを引き出した後、2024年11月にElliottが大半を売却し退場。その流れを国内系のカタリスト/マネックスが引き継ぐ構造で、外資撤退後に日本系アクティビストが継続提案する事例。
提案者
カナメ・キャピタル (Kaname Capital) — 第2位株主
保有比率/論点
保有8.34%。MBO価格2,100円は本源価値3,778円に対し過小と主張(約79%ディスカウント)
資料形態
公開質問状(8項目)、反対声明、元従業員声明書、エンゲージメント方針
提案の核心
2025年2月4日、創業者の横山博一会長が公開買付者フォーサイトを通じMBOを発表(買付価格2,100円/株)。第2位株主のKaname Capital(保有8.34%)は本源価値を3,778円/株と算定し、2,100円は約79%のディスカウントだとして反対。動機・プロセス・価格のすべてに問題があり、特別委員会の独立性にも疑義があると主張した。
資料の特徴・経緯
Kanameは公開質問状(8項目)→反対声明+元従業員声明書(架空取引・売上ノルマ圧力を指摘)→差止め仮処分検討を含むエンゲージメント方針、と公開戦術を段階的に展開。当初TOBは10営業日延長された。
提案者
NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC(NAVF、Dalton/Rising Sun運用)
保有比率
1,500,000株・議決権割合3.23%
資料形態
ノーリツ取締役会反対意見書(TDnet)/Dalton公式リリース
提案の核心
NAVFは2025年1月20日付でノーリツに株主提案書面を提出。第75回定時株主総会(2025年3月27日)に、(1)剰余金の処分(配当)、(2)自己株式取得、(3)社外取締役の員数に関する定款変更の3議題を付議するよう求めた。資本効率・株主還元・取締役会構成に焦点を当てた典型的な3点セット提案である。
資料の特徴・経緯
ノーリツは給湯器最大手で、創業家影響と低PBRの両面でNAVFのターゲットに合致。会社側は2025年2月13日の取締役会で全議案に反対を決議し、反対意見書を開示した。
提案者
NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC (NAVF) ※NAVF Select・Daltonと共同保有
保有比率
共同保有合計8.07%(2025年1月時点/NAVF単体4.49%)
資料形態
EDINET大量保有報告書+TDnet取締役会反対意見書
提案の核心
英系アクティビストNAVFが共同保有者と合わせ合計8.07%を保有したうえで、第99回定時株主総会(2025年3月28日)に向け株主提案を提出。帝国繊維は消防ホース・繊維素材を手掛ける伝統的メーカーで、PBRが低位に放置される一方、政策保有株や潤沢な現預金など含み資産・余剰資本を抱える点が論点。NAVFは資本効率改善(剰余金処分・自己株取得等)を求めた。
資料の特徴・経緯
NAVF陣営の保有はEDINET報告書ベースで段階的に積み増され、総会前の2025年1月時点で共同保有合計8.07%に到達。提案書面は2025年1月16日に会社が受領、取締役会は2月14日に反対を決議した。
提案者
Nippon Active Value Fund plc (NAVF)。NAVF Select等と共同保有
保有比率
グループ合算9.63%(2025/1時点)。7.99%→8.88%→9.63%と段階的に積み増し
資料形態
EDINET大量保有・変更報告書/TDnet取締役会意見
提案の核心
荏原製作所系の機械商社・荏原実業に対し、英NAVFが第86回定時株主総会(2025年3月27日)へ向け株主提案を実施。NAVFの標準パターンである資本効率3点セット(剰余金処分=増配・自己株式取得・社外取締役構成等)を軸とした提案で、現預金潤沢・資本効率低位という典型的なアクティビスト・ターゲットへのエンゲージメント。会社側は2025年2月18日に取締役会として反対意見を決議・開示した。
資料の特徴・経緯
NAVFが2025年3月総会で仕掛けた4社一斉提案(ノーリツ/三菱鉛筆/帝国繊維/荏原実業)の一翼。EDINETの変更報告書では2024年央以降に市場内買付で持株を継続的に積み増し、保有比率を7.99%から9.63%まで引き上げた経緯が確認できる。
提案者
アクシウム・キャピタル(中小型株に経営参画する新興アクティビスト)
保有比率
議決権 約9%超(純投資5.52%から買い増し、筆頭株主)
資料形態
特設ページ+株主提案書(PDF)
提案の核心
車載・医療・ソーラー・HPC向けケーブルを手掛ける独立系電線メーカーに対し、約9%超を保有する筆頭株主アクシウムが2026年5月29日に株主提案を公表。(1)拡大する米国太陽光発電市場を捉えるための生産能力の増設と営業体制の強化、(2)30〜50億円の自社株買いの即時実施と配当性向の30%→60%への引き上げ、(3)隅田会長の「院政」体制からの脱却を含むガバナンス改革、を本年の定時株主総会に向けて求めた。
資料の特徴・経緯
アクシウムは中小型株に経営参画する新興アクティビストで、東京コスモス電機(取締役全入れ替え・社長就任)やフォスター電機にも実績を持つ。平河ヒューテックでは純投資としての大量保有(5.52%)から約9%超へ買い増し、成長投資・株主還元・ガバナンスの3点を軸にエンゲージメントを本格化させている。
提案者
アクシウム・キャピタル(CEO兼CIO 門田泰人)
保有比率
約6.86%(筆頭株主、アクシウム最大の保有銘柄)
資料形態
アクシウム公表+会社開示(TDnet)
提案の核心
車載音響を中心とする音響機器メーカーに対し、筆頭株主アクシウムは2026年4月、自社のCEO兼CIOである門田泰人氏を社外取締役候補として選任することを公表。経営・財務やグローバル資本市場・M&Aの知見を取締役会に取り込み、企業価値・株主価値の向上をテーマに対話を継続する。会社側ともスタンスの一致が確認され、指名諮問委員会の審議を経て取締役会が選任を決定した。
資料の特徴・経緯
対立ではなく会社と協調して取締役を送り込む「受入れ型」の事例。東京コスモス電機(社長就任)に続き、門田氏自身が取締役として経営に関与するアクシウムの中小型エンゲージメント手法を示す。アクシウムにとって最大の保有銘柄でもある。
提案者
アクシウム・キャピタル
保有比率
議決権 約16%(筆頭株主)
資料形態
アクシウム公表(会社議案への反対推奨)
提案の核心
粘着・機能性材料を手掛ける綜研化学に対し、約16%を保有する筆頭株主アクシウムは2026年5月、定時株主総会の会社提案(取締役および監査役の選任議案)への反対を推奨。全取締役・監査役との個別面談を再三要請したが、「特定の株主のみに特別な機会を提供することは控える」として会社が応じなかったことを問題視し、建設的な対話の欠如をガバナンス上の論点として提起した。
資料の特徴・経緯
議案の提出というより、会社提案への反対推奨と「対話の拒否」そのものを争点化するエンゲージメント。筆頭株主との面談に応じない姿勢が、株主との建設的対話を求めるコーポレートガバナンス・コードとの整合性で問われる構図となっている。
提案者
カナメ・キャピタル(Kaname Capital)
論点
時価総額約628億円の小型株。PBR0.59倍(上場同業中最低)・19期連続簿価割れ
資料形態
100ページ 投資家向けホワイトペーパー+株主提案
提案の核心
1960年創業の国内ドラッグストアの草分けカワチ薬品に対し、カナメは2026年6月11日の第59回定時株主総会で、河内伸二社長と渡辺林治・社外取締役の解任、および取締役任期の2年→1年への短縮を株主提案。婿養子の河内社長の在任24年でPBRは19期連続1倍割れ(0.59倍)、約240億円の株主価値が失われた一方、関連当事者取引・役員報酬・配当を通じ創業家側に約158億円の経済的利益が移転したと指摘。独立した戦略検討委員会の設置(非公開化・売却を含む全面評価)とDOE5%へのコミットを求めた。
資料の特徴・経緯
ボストンのカナメが100ページの投資家向けホワイトペーパーを公開。コスモス薬品・ツルハ等の同業が大きく成長する中でカワチの売上は1.7倍にとどまり、PBR・ROE・ROIC・成長率など全指標で上場同業10社中最下位である点をデータで詳述した。時価総額1,000億円未満の地方小型株にも、準大手アクティビストがフル規模のキャンペーンを仕掛ける典型例。
提案者
Palliser Capital (UK)
保有比率
TOTOの上位20株主(top-20 shareholder)
資料形態
価値向上プラン プレゼン「Maximizing the Value of TOTO」
提案の核心
衛生陶器で知られるTOTOだが、Palliserは同社が3D NANDメモリ製造の極低温エッチング装置向けに静電チャック等を供給する「戦略的に重要な半導体材料メーカー」へ変貌している点に注目。先端セラミックス事業は営業利益の過半(50%超)を占めるまで成長したのに、便器・ウォシュレットのイメージに埋没し、約5,540億円(36億ドル)の価値ギャップが生じていると指摘。3つの中核施策(先端セラミックス事業の開示・透明性の向上、財務規律ルールに沿った資本効率の改善=持ち合い株の売却加速・余剰現金の効率的活用 等)で株価に55%超の上振れ余地があると主張した。
資料の特徴・経緯
京成電鉄に続くPalliserの日本案件で、対立よりデータに基づく建設的エンゲージメント型。TOTOは本プランに沿った複数施策(先端セラミックス事業の開示強化等)の実施意向を示し、Palliserも「価値向上プランの採用」を歓迎する声明を出すなど比較的協調的に進展している。AI・半導体の“隠れた素材プレイ”を掘り起こした好例。
提案者
Palliser Capital (UK)
保有比率
SMCの上位25株主
資料形態
価値向上プラン プレゼン「SMCの価値の最大化」
提案の核心
空圧機器で日本・韓国・台湾・中国・北米にまたがる世界的リーダーのSMCに対し、Palliserは2026年4月、慢性的な過小評価の解消に向けた価値向上プランを公表。(1)計画的な設備投資の稼働率向上で半導体capexのスーパーサイクルにおける粗利益率の回復を図る、(2)在庫効率を高め運転資本/売上高比率を歴史的な水準へ戻す、(3)ROEを13%超へ高める規律ある資本配分と今後2年間で6,000億円の自社株買いを実施する——の3施策で、株価に約50%の上振れ余地があると主張した。
資料の特徴・経緯
京成・TOTO・味の素に続くPalliserの日本案件で、データに基づく建設的エンゲージメント型。半導体製造装置サイクルを見据えた稼働率・在庫・資本配分の改善という、優良グローバル製造業に対する“オペレーション+資本効率”型の提案。
提案者
Palliser Capital (UK)
保有比率
味の素の上位25株主
資料形態
価値向上プラン プレゼン「味の素の価値の最大化」
提案の核心
アミノ酸・食品で知られる味の素だが、Palliserは半導体パッケージ基板に不可欠な「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」を、グローバルAIインフラを支える独占的な材料技術と位置づけ。にもかかわらず顧客であるABF基板企業より割安に評価されているとして、2026年3月に価値向上プランを公表。(1)ファンクショナルマテリアルズ事業を独立報告セグメント化してABF事業の開示・透明性を改善、(2)ABF価格を30%超引き上げて独占的役割の経済価値を取り込む、(3)冷凍食品事業を再編しROIC8%超を達成——の3施策で70%超の上振れ余地があると主張した。
資料の特徴・経緯
TOTO(先端セラミック)と同じく「食品・素材メーカーに埋もれた半導体・AI材料の価値」を掘り起こすPalliserの“隠れたAIインフラ”シリーズ。ABFの値上げ余地という独自の収益化論点が特徴。
提案者
Palliser Capital (UK)
保有比率
発行済3%超・上位10株主
資料形態
価値向上プラン(13D Deck)
提案の核心
環太平洋を代表するセメントメーカーで、米子会社CalPortlandを通じ高収益の米国事業も持つ太平洋セメントに対し、Palliserは2025年10月、本源的価値に対し3,910億円(26億ドル)の価値ギャップがあり90%超の上振れ余地があると主張。(1)CalPortland(4,440億円の価値)を直接売却や米国IPOを含め戦略的に検討して米国資産価値を株価に反映、(2)保有不動産1,260億円+投資有価証券1,350億円(時価総額の約60%)を現金化し成長投資・自社株買いへ、(3)資本コストを上回るROIC目標と株主還元を伴うクラス最高の資本配分枠組みを導入——を求めた。
資料の特徴・経緯
13D Monitor Active-Passive Investor Summit(2025年10月)で創業者James Smithが発表。子会社価値・不動産・政策保有(有価証券)・資本配分という、コングロマリット型の価値解放を総動員する大型案件。
提案者
Palliser Capital (UK)
保有比率
上位15株主
資料形態
Sohn London プレゼン
提案の核心
Palliserは2025年11月19日、英Sohn London Investment Conferenceで日本郵政への投資プレゼンを実施。優れた資産と高い潜在価値を持ちながら市場が過小評価し続けているとし、特に極めて優れた不動産ポートフォリオ、多額の余剰ネットキャッシュ、継続的な株主還元が認識されていないと指摘。経営陣が次期中期計画でその潜在価値を最大化することを支援する立場を表明した。2026年5月には新中計「JPプラン2028」(ROE目標引上げ・累進配当・継続的自社株買い・最低50%TSR・不動産価値の顕在化等)を歓迎している。
資料の特徴・経緯
京成に続く建設的エンゲージメント型で、対話を通じて会社の中期経営計画に実際に反映された事例。ゆうちょ・かんぽという上場子会社を抱える巨大コングロマリットの不動産・余剰資本がテーマ。
提案者
Palliser Capital (UK)
保有比率
大株主(significant投資)
資料形態
Sohn Hong Kong プレゼン
提案の核心
米国のワイド/ライトトラックタイヤ市場で筆頭シェアを持つプレミアムブランドのTOYO TIREに対し、Palliserは2025年5月、収益性が優れるにもかかわらず同業比で大幅ディスカウントで取引され大きく過小評価されていると指摘。(1)経営インセンティブを株主利益と完全に一致させるクラス最高の業績目標・インセンティブ構造の採用、(2)東証要請に整合した(明確な指標・リターン・ハードルレートに基づく)資本配分枠組みの導入を提案。さらに「ステークホルダー価値向上委員会」を設置し、複数のPE・戦略バイヤーからの関心を含む選択肢を積極的に検討すれば、45%超を上回る価値実現が可能と主張した。
資料の特徴・経緯
Sohn Hong Kong Investment Leaders Conference(2025年5月30日)で創業者James Smithが発表した、Palliserの日本「価値向上プラン」シリーズの先駆け。売却(PE・戦略バイヤー)を含む選択肢検討に踏み込んだ点が特徴。
提案者
エフィッシモ・キャピタル+Asset Value Investors (AVI)
保有比率
エフィッシモ13.72%+AVI8.05%。5%未満も含め陣営合計約30%(筆頭の三菱総研超え)
資料形態
大量保有・変更報告(EDINET)/報道
提案の核心
独立系システムインテグレーターのアイネスに対し、エフィッシモが13.72%、英AVIが8.05%まで保有を引き上げ、5%未満のファンドを含めるとアクティビスト陣営の合計保有は約30%に達し、大株主の三菱総研の持ち分を超えた。狙いは本業のSIではなく、時価総額の2割超に相当する約100億円の本社ビル(東京・水天宮前)。同社は7年ほど前にもストラテジックキャピタルから攻勢を受けており、保有株売却で気が緩んだ後に豪華な本社ビルを購入した経緯が、不動産価値の論点を際立たせている。
資料の特徴・経緯
正式な株主提案ではなく、複数アクティビストの大量保有による圧力(不動産の含み資産アンロック)が焦点。FACTA報道で「狙われる不動産持ち事業会社」の代表例として挙げられた。
提案者
Elliott Investment Management(大株主)
保有比率
大株主(具体比率は非開示)
資料形態
エンゲージメント(報道・IR対応)
提案の核心
海運大手の商船三井に対し、エリオットが株主還元の強化を要請。今後3年で3,000億円規模の自社株買いを行う余地があると指摘し、2022年に完全子会社化したダイビルが保有する賃貸用不動産の値上がり益に注目、ダイビルの再上場による不動産事業の切り離しと船舶保有構造の見直しを求めた。会社は2026年3月末の中期経営計画で累進配当の導入と総還元性向約40%を打ち出したが、エリオットは「前進だが同業比でなお不十分」と評価している。
資料の特徴・経緯
Elliott(東京ガス・豊田自動織機に続く日本案件)による建設的エンゲージメント型。完全子会社ダイビルが抱える不動産の含み益と資本効率が論点で、FACTAが指摘する「不動産持ち事業会社が狙われる」潮流の象徴。
提案者
Asset Value Investors (AVI)/Avi Japan Opportunity Trust+Longchamp Sicav
保有比率
大株主(2024年6月から投資・買い増し)
資料形態
特設サイト「Awakening Rohto」+プレゼン
提案の核心
英AVIは2024年6月にロート製薬へ投資し、2025年4月に公開キャンペーン「ロート製薬の目を覚ます(Awakening Rohto)」を開始。本業(アイケア・スキンケア等)への集中と、収益化が進まない再生医療事業など非中核事業の見直し、株主との建設的な対話の強化を求めてきた。十分な対応が得られなかったとして、2026年4月、Avi Japan Opportunity TrustとLongchamp Sicavが6月24日の第90回定時株主総会に向け、創業家出身の山田邦雄会長の取締役解任とガバナンス・資本政策に関する複数の定款変更を株主提案。会社側は2026年6月1日に全議案へ反対を表明した(「在任期間の長さ等の外形的理由のみで解任を求めるのは適切でない」)。
資料の特徴・経緯
専用サイト「AwakeningRohto.com」とプレゼンで論点を可視化するAVIの公開キャンペーン型。創業家の長期支配とガバナンス、非中核(再生医療)の資本効率が争点で、FACTAも「AVI株主提案の猛威」として取り上げた継続案件。AVIはワコム・栄研化学・アイネスなどでも動く。
アクティビスト・キャンペーンマップ — 誰が、どこで、何をしているか
2023年以降にビジュアル資料・特設サイトを伴うキャンペーンを展開した主要アクティビストの一覧。日本市場ではOasis Management、3D Investment Partners、ストラテジックキャピタル、Elliott Management、ダルトン・インベストメンツの5ファンドがビジュアルキャンペーンの大半を占める。加えて、ひびき・パース・アドバイザーズ(→3D統合)やアクシウム・キャピタル(旧スイスアジア)など、中小型株を対象としたアクティビズムも活発化している。
ファンド名
本拠
スタイル
主要対象企業(2023–2026)
勝敗
Oasis Management
香港
特設サイト プレゼンPDF 訴訟
花王 (4452) · 京セラ (6971) · 太陽HD (4626) · 小林製薬 (4967) · ツルハHD (3391) · KADOKAWA (9468) · 北越コーポ (3865) · アインHD (9627) · DIC (4631) · 堀場製作所 (6856) · ニデック (6594) · フジテック (6406)
勝利 フジテック・太陽HD
継続 花王・小林製薬・京セラ・KADOKAWA
3D Investment Partners
SG
特設サイト プレゼンPDF レター
スクエニHD (9684) · サッポロHD (2501) · 富士ソフト (9749) · NSソリューションズ
継続 スクエニ・サッポロ
ストラテジックキャピタル
日本
特設サイト プレゼンPDF 反論書
ガンホー (3765) · 日産自動車 (7201) · 淀川製鋼所 (5451) · ワキタ (8125) · ダイドーリミテッド (3205) · 京阪神ビルディング (8818) · 天馬 (7958) · 世紀東急工業 (1898) · 極東開発工業 (7226) · 文化シヤッター (5930)
継続 ガンホー・日産
Elliott Management
米国
プレゼンPDF 声明 レター
東京ガス (9531) · 豊田自動織機 (6201) · 大日本印刷 (7912)
成果 東京ガス(自社株買い拡大)
継続 豊田自動織機
ダルトン・インベストメンツ
米国
レター 総入替提案
フジメディアHD (4676) + 他20社(2025年6月総会で計21社に提案)
否決 フジメディア
ひびき・パース・アドバイザーズ→ 2026年1月 3D Investment Partnersへ統合
SG
レター エンゲージメント 公開キャンペーン
日本高純度化学 (4973) · 河合楽器 (7952) · ほか中小型多数
継続 日本高純度化学
アクシウム・キャピタル旧スイスアジア / 門田泰人
SG
株主提案 経営参画 群がり型
東京コスモス電機 (6772)
勝利 経営権取得・全取締役入替
旧村上系City Index Eleventh / Reno
日本
大量取得 AGM提案
コスモエネルギー (5021) · その他多数の中小型株
継続 コスモエネルギー
トレンド分析 — なぜ「リッチな提案」が増えているのか
3Dモデルの確立
3D Investment Partnersは、対象企業ごとに特設ドメイン(compoundsapporo.com、compoundfujisoft.com等)を取得し、プレゼン資料・レター・反論を一元管理するモデルを確立した。このスタイルは米国のアクティビスト(Elliott、Trian等)のキャンペーンサイト運営を日本市場にローカライズしたもので、機関投資家のみならず個人株主にもリーチする効果がある。
SCの「見える化」戦略
ストラテジックキャピタルの丸木強代表は、対象企業ごとに詳細な特設ページを開設し、提案理由をグラフ・表で「見える化」する手法を一貫して採用。ガンホーの事例ではCEO報酬10年推移や同業比較表を公開し、「企業と株主の対立の見える化」として注目を集めた。
2025年は転換点
2025年6月総会シーズンでは株主提案が過去最多の114社・399議案 に達した(三井住友信託銀行調べ・日経)。特筆すべきは、PBR1倍超・時価総額1,000億円以上の企業にも提案が拡大したこと(EY-Parthenon )。「低PBR企業だけがターゲット」という従来の見方は通用しなくなった。NAVF(12件)・ダルトン(10件)連合が全体の約4割を占めるなど、量でも質でもアクティビスト活動は新段階に入っている(大和総研 2025年10月 )。
Oasisの「コーポレートガバナンス」ブランド
Oasis Managementは対象企業ごとに「〇〇corpgov.com」「abetter〇〇.com」の特設サイトを開設する統一フォーマットを確立。花王では2本の特設サイト(abetterkao.com + protectkao.com)を運営し、太陽HDでは社長再任否決→KKR非公開化という成果を上げた。日本市場におけるビジュアルキャンペーンの最多展開者。
ひびき→3D統合:中小型株へのキャンペーン波及
2025年11月、中小型株エンゲージメントで知られるひびき・パース・アドバイザーズが3D Investment Partnersへの事業統合を発表。清水雄也CIOが「3D Hibiki Path Aoba Strategy」のCIOとして運用を継続する。3Dの約1.3兆円の運用基盤とひびきの中小型株ノウハウが融合し、従来3Dが手薄だった時価総額1,000億円以下の企業にも、プレゼン資料・特設サイトを伴うキャンペーン水準のエンゲージメントが拡大する可能性がある。
中小型でのアクティビスト経営参画
東京コスモス電機では、スイスアジア(現アクシウム・キャピタル)を中心とした「群がり型」アクティビストが株主総会で全取締役を入れ替え、門田泰人氏が社長に就任する異例の事態が発生。新経営陣は5ヵ年の成長投資計画を策定し、「アクティビストは経営できない」という通念を覆す成果を示しつつある。ひびき→3D統合と合わせ、中小型市場における株主アクティビズムが「提案」から「経営」へと新段階に入ったことを示唆する。
Elliottの日本本格参入
世界最大級のアクティビストElliott Managementが、東京ガス(不動産1.5兆円売却要求)、豊田自動織機(TOB価格40%過小評価と指摘)で本格的なプレゼン資料を公開。elliottletters.comでの日本企業向け資料公開は、グローバル水準のキャンペーンが日本市場に持ち込まれたことを象徴。
まとめ — アクティビズムは全業種・全規模へ。問われるのは「資本コストを意識した経営」
本ページの57事例が示すのは、株主提案・エンゲージメントがもはや特定の業種や大型株に限られないという事実です。3D・オアシス・エリオット・パリサーといった国内外の大型ファンドから、ストラテジックキャピタル・ダルトン・カナメ・アクシウムのように中小型を主戦場とするファンドまで、製造・素材・医薬・小売・不動産・金融・サービスと対象は業種を問わず広がり、手法も買収防衛策の発動局面・MBOの価格交渉・社外取締役の選任・第三者委員会の設置要求へと多様化しています。
そして、狙われる切り口は驚くほど共通しています。PL面 では本業の収益性・不採算事業の切り離し・業界再編余地、BS面 では親子上場や子会社の資本問題、政策保有株・有価証券の含み益、そして不動産の含み益。ここにガバナンス体制 と不正・私物化 が加わります。いずれも「事業が本来持つ価値に対して、株価・資本効率が見合っているか」という一点に帰着します。
提案手法も、数行の提案理由から100ページ超のプレゼン・特設サイト・漫画・PR動画へとリッチ化が進み、一般株主や従業員まで巻き込む情報戦の様相を帯びています。これは一部のファンドや特定業種だけの話ではありません。 PBR・資本コストを意識した経営改革は、いまや業種・規模を問わず、すべての上場企業に共通する経営課題です。資本市場対応というと証券会社への依頼を思い浮かべがちですが、エクイティストーリーの再構築、事業ポートフォリオの見直し、PBR改善施策の立案、開示・IRの高度化、そして資本コストを意識した経営そのものの定着 まで——証券会社の枠にとどまらず、むしろ経営の現場でこそできることの方が多くあります 。
青山乃木坂パートナーズは、代表の戦略コンサルティングファーム出身の経歴を軸に、企業価値向上のドライバー特定から実行・モニタリングまで を伴走支援します。アクティビストに指摘される前に、自ら動くための備えです。たとえば——
経営戦略・バリューアップ — 中期経営計画の策定、事業ポートフォリオの最適化
IR支援・資本市場対応 — エクイティストーリー構築、PBR改善施策、投資家との対話設計
財務・資本政策 — 資本コストを意識した資本政策、成長投資と財務規律の両立
主要な一次ソース・参考リンク
網羅的なリストではなく、各アクティビストの一次情報や主要なガバナンス分析の抜粋 です。